大人の矯正と子どもの矯正の違いについて解説
お子さまの歯並びの乱れが気になる方は、“子どもに矯正を受けさせるべきか”悩まれているかと思います。最近では、大人になってから矯正を受ける人も増えてきたので、そもそも子どもの頃に無理して治療を始める必要性が低くなっているように感じている方もいらっしゃるかもしれませんね。けれどもそれは、正しい考え方ではありません。なぜなら、大人の矯正と子どもの矯正には明確な違いがあるからです。
治療目的の違い
大人の矯正と子どもの矯正とでは、そもそも治療目的に違いがあります。「歯並び・かみ合わせを改善する」という点は共通しているのですが、装置によってアプローチする部分が異なるのです。
成人矯正は“歯並びの乱れを細かく整える”治療
成人矯正では、マルチブラケットやマウスピース型矯正装置を用いて、歯並びの乱れを細かく整えていきます。いわば“矯正の仕上げの段階”であり、小児矯正とは治療目的が根本から異なっている点に注意しなければなりません。ちなみに、小児矯正には1期治療と2期治療があり、後者はほぼ成人矯正と同じであると考えて問題ありません。
小児矯正は“歯・顎の発育をコントロールする”治療
子どもの矯正は、大人の歯が生え始める5~6歳から開始するのが一般的です。乳歯と永久歯が混在する混合歯列期に行う治療なので、歯や顎の骨が発育途上にあります。そんな時期に歯並びの乱れを細かく整えてもあまり意味がありませんよね。ですから、小児矯正では、歯や顎の骨の発育を正常に促すことが主な治療目的となります。これは成人矯正とは決定的に異なる点といえます。
骨格的な異常を改善できるのは小児矯正だけ?
悪い歯並びの原因はいくつかに分けられますが、骨格的な異常が背景にあるケースは、治療も難しくなることが多いです。例えば、下の顎の骨が極端に長くて受け口となっている場合、成人矯正のみで改善するのはなかなか難しいです。大人になってからその症状を治すとなると、抜歯はもちろんのこと、顎の骨を切除する外科処置が必須となるケースも珍しくないのです。その点、顎の骨の発育をコントロールできる小児矯正なら、自然な形で骨格的な異常を改善できます。確かに、小児矯正を受けることは、幼少期にそれなりの負担がかかることになりますが、長い目でみたらお子さまにとってメリットの大きい治療であるといえるのです。
治療期間・治療費の違い
小児矯正の治療法は、あくまでケースバイケースであり、使用する装置もお子さまによって異なります。例えば、1期治療だけであれば、6~12ヶ月で終わることもありますし、成人矯正と同様、2~3年の期間を要することもあります。費用に関しても治療内容によって大きく変動します。一方、成人矯正は80~100万円程度の費用がかかるのが一般的です。
まとめ
このように、大人の矯正と子どもの矯正には、いろいろな点に違いがあります。人によっては子どもの矯正が必要ないこともありますので、大切なのは早い段階で矯正医の診断を受けることです。歯並びに関して少しでも気になる点があれば、カウンセリングを受けることをおすすめします。