部分的に矯正することは可能?メリット・デメリットは?
標準的な歯列矯正では2~3年の期間を要しますが、それはすべての歯が対象となった治療です。いわゆる“全体矯正”ですね。マルチブラケットもほとんどの歯に設置するため、心身にかかる負担も大きくなります。そこで気になるのが部分的な矯正ですよね。歯並びが気になる部分だけ矯正できるのであれば、それに越したことはありません。今回はそんな部分矯正についてわかりやすく解説します。
部分矯正とは?
部分矯正とは、その名の通り歯並びを部分的に整える矯正法です。気になる部位にだけ矯正力を作用させるので、マルチブラケットを設置する歯も一部に限られます。それだけを聞くと、とても便利な矯正法のように感じますが、注意しなければならない点が多々あります。
部分矯正のデメリット
部分矯正では、以下に挙げるようなデメリットがある点にご注意ください。
対象となるのは簡単な症例だけ
部分矯正が適応できるのは、ちょっとした歯並びのデコボコや前歯の傾き程度です。歯を大きく動かさなければならないようなケースには適応することができません。
かみ合わせは改善されない
かみ合わせは、歯列全体で作り上げるものなので、部分矯正を行っても改善されません。場合によっては、矯正前よりかみ合わせが悪くなることもあります。
部分矯正のメリット
ここまで、部分矯正で注意すべき点やデメリットについて解説してきましたが、当然メリットもいくつかあります。
治療期間が短い
部分矯正の最大のメリットは、治療期間の短さです。本来は歯を動かすのに2~3年かかるところを部分矯正なら6~12ヶ月程度で済みます。矯正する部位が一部に限られるので、それだけ早く治療を完了できるのです。
費用が安い
部分矯正にかかる費用は、全体矯正の半分以下であることが多いです。治療に使用する装置が少なく、治療期間も短いため、費用も自ずと少なくなります。
心身にかかる負担が少ない
治療期間が短い、費用が安い、装着するブラケットの数が少ないことから、患者さまの心身にかかる負担も大幅に減少します。
あくまで「見た目」を改善する治療
このように、部分矯正にはメリットとデメリットの両方がありますので、それらを天秤にかけた上でより良い治療法を選択することが大切です。ただし、部分矯正はあくまで見た目を改善するために行うものであり、歯が担っている最も重要な「噛む機能」は改善されないことが多い点を改めて確認しておきます。歯科医師からすると、やはり審美性だけではなく、機能性まで改善できる全体矯正の方が優れていると言わざるを得ないからです。
まとめ
今回は、歯並びの気になる部分だけを治療する部分矯正について解説してきました。少し特殊な治療なので戸惑う面も多いかと思いますので、不安な点があったら歯医者さんに相談しましょう。矯正はとても重要な治療であり、専門家としっかり相談した上で決断することが大切です。