親知らずの抜歯とその他の治療方法
親知らずは永久歯の中でも少し特殊な奥歯です。永久歯は親知らずも含めると全部で32本生えてきますが、基本的に12歳前後で萌出が完了します。一方、親知らずは20歳前後に生えてくることが多く、スペース不足を余儀なくされます。その結果、いろいろなお口のトラブルを引き起こしやすくなっているのです。今回はそんな親知らずの治療方法についてわかりやすく解説します。
抜歯が多くなる理由
親知らずの治療方法というと、まず「抜歯が」思い浮かびますよね。実際、臨床の現場では親知らずに抜歯を適応することが多いです。これは主にスペース不足が原因で、親知らずにさまざまな問題が付随するからです。
生え方が悪い
スペースが不足していると、親知らずは正常に萌出することが難しくなります。もしかしたら、皆さんの親知らずも斜めや真横を向いているかもしれませんね。半分だけ頭が出ているケースも珍しくありません。そうした生え方が悪い親知らずは、清掃性も悪く、食べかすや歯垢・歯石などが蓄積しやすいです。
虫歯・歯周病にかかりやすい
歯垢・歯石が堆積すると、当然、虫歯や歯周病のリスクが高まりますよね。しかも、再発する可能性まで高いため、時間をかけて治療するよりは、抜歯してしまった方が予後も良くなりやすいのです。手前の歯に虫歯や歯周病を広げるリスクも抑えられますからね。
手前の歯を圧迫する?
歯茎の中に完全に埋まっている親知らずは、一見すると無害のように見えます。そもそもレントゲン写真を撮らない限り、その存在に気付くことさえできません。けれども、いわゆる“完全埋伏”の親知らずであっても、「手前の歯を圧迫して歯根を吸収させる」などのトラブルを引き起こしかねません。そのため、歯茎に埋まっている親知らずを外科的に摘出することもよくあります。歯茎をメスで切開し、親知らずをいくつかに分割して取り出す処置ですね。
CHECK抜歯以外の治療方法は?
もちろん、親知らずにも抜歯以外の治療方法があります。具体的には、虫歯治療や歯周病治療です。それらの症状が比較的軽度であれば、親知らずでも通常の治療方法が適応されます。虫歯であれば、感染した歯質を削り、コンポジットレジンなどで充填します。ただし、次に挙げるような条件を満たさなければ、抜歯を選択した方が良いといえます。
- 真っすぐ正常に生えている
- 全体の噛み合わせに参加している
- 手前の歯や歯茎に悪い影響を与えていない
- 親知らずのケアを適切に行えている
親知らずも立派な天然歯のひとつ
親知らずは、生えてくる位置や角度に異常が現れやすいものの、立派な天然歯のひとつであることに変わりはありません。正常に生えているのであれば、保存して使い続けた方が良いです。また、少しばかり問題があっとしても、将来、入れ歯の支台歯や歯が抜けた際の移植歯として活用できる場合は、抜かずに残した方が良いです。その判断はケースによって大きく異なるため、検査してみなければわかりません。
まとめ
このように、親知らずは主に生え方の問題からお口のトラブルメイカーになりやすいです。とくに注意が必要なのが親知らずの歯周病である「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」ですが、全体の歯並び・噛み合わせを乱す原因になることも多いため十分注意しましょう。そんな親知らずに何か問題が生じた際には、いつでも当院までご連絡ください。まずは精密に検査して、最善といえる治療法をご提案します。