歯科の定期検診が大切な理由
予防先進国の欧米各国と比べると、日本は定期検診の受診率が極めて低いことをご存知でしょうか?日本では昔から「歯医者さんは痛くなってから行くところ」という考え方が広く根付いており、予防のために歯科を受診する人の方が明らかに少なくなっています。その結果、高齢になった時の残存歯数も少なくなっているのが現実です。そこで今回は、歯科の定期検診の重要性についてわかりやすく解説します。
歯科の定期検診とは?
歯科の定期検診は、お口の中に虫歯や歯周病の兆しが見られないか、あるいは病気そのものが認められないかを調べるためのものです。歯科医師が肉眼でお口の中の状態を調べる口腔内診査はもちろん、必要に応じてレントゲン撮影を行うこともあります。そうした専門家によるチェックを定期的に行うことで、虫歯や歯周病の早期発見・早期治療、予防などが可能となります。
定期検診を受ける適切な頻度は?
医科の健康診断は、1年に1回受けるのが一般的ですが、歯科の定期検診は1~6ヶ月に1回程度の頻度で受けるのが推奨されます。虫歯や歯周病というのは進行が早く、1年という長い期間をあけてしまうと、発見した時点で重症化しているケースも珍しくありません。ですから、3~6ヶ月程度の頻度で定期検診を受けるのが適切といえます。もともと虫歯や歯周病のリスクが高い人は1~3ヶ月に1回、リスクが低い人は6ヶ月に1回の受診で早期発見・早期治療も可能となります。
虫歯・歯周病は自然に治らない病気?
虫歯や歯周病は、自然に治ることのない病気です。発見や治療が遅れれば遅れるほど、失う歯質の量や破壊される歯周組織も多くなっていきます。そのため、定期的な検診を受けて早期に病気を発見し、治療を始めることが重要なのです。
歯を失う原因第一位は歯周病
日本人が歯を失う原因の第一位は歯周病です。歯周病は、歯を支えている顎の骨まで破壊する病気であるため、重症化すると抜歯を余儀なくなくされます。しかも厄介なことに、歯周病は自覚症状に乏しく、気付いた頃には重症化していることも珍しくありません。これは歯周病がサイレントディジーズ(沈黙の病気)と呼ばれている所以でもあります。そんな自分では気付きにくい歯周病を早期に発見するには、定期検診が欠かせないといえます。ちなみに、日本人が歯を失う原因の第二位は虫歯です。
定期検診を受けることで残存歯数が変わる?
予防先進国であるスウェーデンは、90%を超える国民が歯科の定期検診を継続的に受診しています。その結果、80歳で20本以上の歯が残っている人が大半を占めています。一方、定期検診の受診率が比較的低い日本では、80歳になった時に20本の歯が残っている人は半数程度にとどまります。極めて単純な比較とはなりますが、定期検診にはそれくらい大きなメリットがあるということを知っておいてください。
予防歯科で受けられる処置
定期検診で予防歯科を受診した際には、お口の中のチェックだけでなく、ブラッシング指導やフッ素塗布、歯のクリーニングなども併せて受けることができます。こうしたプロフェッショナルケアは、歯科医院でしか受けられないものなので、積極的に活用していくことをおすすめします。セルフケアとプロフェッショナルケアを両立させれば、虫歯や歯周病にかかるリスクを大幅に減少させることができます。
まとめ
このように、歯科の定期検診は、虫歯や歯周病の早期発見・早期治療、予防に大きく寄与します。80歳になった時に20本以上の歯を残すためにも、積極的に予防歯科を受診しましょう。どんなに優れた歯科治療でも予防にはかないません。